ドイツ人パートナーと同棲生活をスタートして約1年。
国が違えば、暮らしも家事のやり方も違う。わかっていたはずなのに、実際に二人暮らしをしてみると、ドイツと日本の家事の違いに戸惑った。
最初は意見の食い違いも多かったが、ドイツ流の家事を取り入れてから、効率は一段と上がっている(気がしている)。家事が楽になったおかげで、穏やかに過ごせるようにもなった。
共働きカップル、夫婦の場合、仕事が終わっても家事に追われることも多いはず。
そこで、ドイツ人から学んだ家事を楽にするコツやシンプルに暮らす知恵をご紹介したいと思う。
ドイツと日本の家事の違い

ドイツ人と日本人は似ているとよく言うが、実際はまったく違うというのが私の見解だ。
だから家事に対する考え方から方法まで、日本とはかなり違うところがある。
男性が家事をするのは当たり前
ドイツの男性は10代から一人暮らしをするのが当たり前だそう。だから家事もひと通りできるし、むしろ日本人の女性よりも経験が豊富。
そもそも「家事は女性の仕事」という概念がないので、休日であれば料理を積極的にするし、平日でも洗い物をして、洗濯物も丁寧にたたんでくれる。
「すごい」「いいな」と思われるかもしれないが、おそらく海外の人からしたら日本の亭主関白は理解できないし、「変」なのだ。ドイツだけではなく、欧米諸国の男性の多くは家事をする。手伝うという感覚もなく、男性は普通に家事をするものなのだ。
料理は何品も作らなくていい
日本の晩ご飯はクオリティが高すぎる。メインだけじゃなく、ご飯に汁物に副菜……。共働きカップルや子育て中のママには、あまりに酷な話ではないだろうか。
「何品か作らないといけない」と思って躍起になっていたのだが、あるとき、10分くらいでできた丼物を出したら、なんと一番好評で、どんな手の込んだ料理よりも喜んでくれたのだ。
それ以来、最低1品作れたらOKとした。ご飯さえあれば、あとはなんとかなる。
律儀に何品も作るのは素晴らしい。でも負担を感じているなら、手抜き料理をちょこちょこ挟んでみてはいかがだろうか。
労力と時間が多いからといって、相手の満足度はさほど変わらない。それなら時間もストレスも最小限でそこそこ美味しいものを作るのが得策だと思う。
カップルはチーム
日本では、女性が男性を支えて、チアリーダー的な存在になることが多いように思う。
しかしドイツでは、男女平等という考え方が強いため、男性も女性をサポートする。どちらかだけがサポートする関係ではなく、お互いが助け合うのだ。
まさにチームの関係で、男性か女性のどちらかが上とか下とかはない。
日本の女性は、遺伝子的になのか親の影響なのかわからないが、彼に頼らないで意地でも自分ですべてやろうとする傾向にある。自分を犠牲にするあまり、相手への不満が溜まっていく。こんな人が多い気がする。
でもカップル(夫婦)はチームと考えると、それぞれに役割があり、頼って頼られる関係ができる。どちらかだけでも成り立たない。二人だからこそ最強になれるのだ。
ドイツ流の楽な家事のコツ

ドイツ流といってもサンプル数1だが、純日本人の私がよかったと思うこと、家事を楽にするコツをご紹介していきたい。
家事はとにかく効率重視!
この記事を書くにあたって、彼に「家事を楽に行うコツは?」と聞いてみたら、すかさず「効率的にやる!何でもシンプルにする!無駄なことはしない」という回答をもらった。
彼からすると、「日本人はなんでも難しくしがち」なのだとか。仕事においては、メールや細かいルールの多さに納得がいかない様子。
確かに、家事の仕方においても、日本人は複雑にしやすい。例えば、彼は料理をするとき、調味料をきっちり量ることはないし、レシピを見ることもなく、味見をしながら調整する。
さらに、味噌やカレーのルーをおたまの中で溶かさずに、そのまま鍋に入れていたほど。
「え、大丈夫?」と疑うような目をしてしまったが、味は特に問題がなかった。
私は基本的にレシピや分量を見て、きっちりやりたいタイプなので、時間がかかる。
そこで今は彼を見習い、効率的に料理するための方法を実践している。具体的には以下の内容だ。
- 油は目分量
- お米を何回も洗わない
- 水にさらす工程を省く
- しょうがやニンニクを入れない
- 料理に砂糖を入れない
- 酒とみりん入った調味料を使う
- レシピ通りにしない(材料や調味料も全部そろえない)
工程を省いてみても、味に特にそん色がなければいい。時間があって、ゆっくり料理したいときは、丁寧に行うこともあるが、早く美味しくできるのが心身にとって楽だと思う。
完璧は目指さない
ドイツ人は「完璧に」家事をこなそうとしない。仕事でもそのマインドで取り組むから生産性が高い。
失敗はつきものだし、思うようにうまくいかないもの。家事も仕事も、どんなことにも「完璧」は存在しない。
だからこそ、完璧を目指さず、できる範囲でする。
相手を喜ばせるために無理しても、結局は長続きしない。勝手にイライラして関係が悪くなるだけだ。
厳しいように聞こえるかもしれないが、実は、自分にも言い聞かせている。まだまだキャパ以上に家事をやろうとして、プチ喧嘩したところだ(笑)。
これからもパートナーとずっと仲良くやっていくために決めたことがある。
「今できることだけやる。それ以上はしない」
このスタンスを忘れないようにしようと思う。家事が格段に楽になるはず。
洗った食器はすぐに拭いて片づける
今まで食器を自然乾燥していた私は、彼が毎回、律儀に拭いて片付ける光景にびっくりした。
「私がおかしい?」と思い、新婚の姉や周りの友人にもアンケートをとったところ、食器は拭かない派が100%だった。
「ほら見ろ!」と勝ち誇ったような気持ちになって、「みんな拭かないよ」と高らかに訴えかけた。
やらなくてもいいよと言ってくれたが、結局、拭いてしまうことが多くなった。
実際、ものが片付いているほうが気持ちがいいし、たかが5分くらいなのに、躊躇するのはもったいない。
それに、ものが定位置にあれば探す手間も省けるし、ほんの少しの作業を先に行っておくことで料理もスムーズに行える気がする。
シンプル家事が幸せへの近道

ドイツ人は、シンプルさを大事にする傾向にある。
一方、日本人は心配性の気質から、失敗を避けるためにあれこれやりすぎることが多い。
家事においても、古い考え方を引きずり、「これをやらないといけない」と決めつけて楽することを自ら避けてしまう。そうすれば、時間も労力も足りず、イライラやストレスが増える。
私もまさにそうだった。でも、ドイツ流家事を取り入れて、家事がかなりシンプル化されてきた。家での自由時間が増え、彼とのおうち時間を楽しめている。
家事以外も、仕事も暮らしもシンプルが一番。何より幸せ感が増えるのだから。
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