時間というのは残酷なものだ。 どれだけ疲れていても焦っていても決して待ってはくれない。
SNS を見ていたらあっという間に時間が経っていたという経験は誰にでもあるだろう。
しかし時間の無駄遣いはフリーランスにとっては命取りである。 特にここでいうフリーランスとはライターやデザイナーなど納期がある在宅フリーランスのことを指す。
私はフリーランスとしてピラティストレーナーとライターの仕事をしている。どちらもフリーランスであることは間違いないが、 働き方としてはかなり違いがある。 明らかに時間管理が難しいのはライターのほうである。
余裕がないと悩んでいるフリーランス女性に向けて、上手な時間の使い方を研究してきた時間管理が苦手だった私の経験を伝えてみようと思う。
時間に追われるフリーランスだった私

今の状態を知っている人は驚くが、 私はかつてちびまる子ちゃんのような子供だった。 夏休みの宿題は31日の夜までやるタイプで、 家族に手伝ってもらったこともある。
もうお察しの通り、 こんな私は在宅フリーランスとなってからは苦労の連続で、納期の2、3日前から慌てて記事を書き始め、夜明けまで仕事する日も多々あった。「まだ時間あるもんね〜」とたかをくくっていた自分に「痛い目見るぞー!」と注意したかったほどだ。
時間管理の本を軽く10冊くらいは読んで、それ関連のYouTubeも見てありとあらゆる方法を実践したのだが、 根本的に時間の使い方を変えることはできなかった。
そんな私でも、今は時間をほぼほぼ操れるようになっている。複雑なことは何もなく全てシンプル。でもきっと本質的だからこそ効果があったのだと思う。
時間と仲良くなれたことで良かったのは、同棲中のドイツ人パートナーの彼と 言い争うこともなく、 お互い過度なストレスを感じることもなく、 平凡でありながら幸せな日々を過ごせるようになったことだ。
結局、 どれだけ仕事で成功していようと仕事が充実していようと私生活が乱れ、 自分を労る時間や大切な人との時間を持てなければ、 幸せとは言い難い人生だと思う。
私は、自分の心身と普段の暮らしを大切にしていきたい。時間に追われ、 いつもタスクが未完了でイライラしていた自分にはもう戻りたくない。
今考えるとあの頃は本当につらかった。 生きている意味もよく分からなくて。
でも今は日々の暮らしも生活も旅行や遊びも全てが愛おしく思える。もちろん全くストレスがないわけではないし、 時間が足りないと焦る時もある。 それでも私の中に時間のコントロール権がある状態だから、 こうやって落ち着いてブログが書けるようになったのだ。
時間の使い方を見直してみた

私は時間の使い方が上手ではないと自負している。
でも「なぜ」なのかは考えてこなかったから、時間のムダ遣いをしてしまう原因を考えてみた。
- なんでも完璧にこなそうとしていた
- 一つひとつの行動について深く考えすぎていた
- 時間の見積もりが甘く、タスクをこなせなかった
- 自分に過度なプレッシャーをかけていた
- 家事や自分のための時間を後回しにしていた
もし一つでも当てはまる項目があれば、ぜひこの後も読んでいただきたい。
上手な時間の使い方を研究した私が実践したこと

さて、ここからは実際に”時間ベタ”なフリーランス女子の私が、実践したことを綴ってみようと思う。
1日のスケジュールをゆるめに設定した
私は自己肯定感が高いのか、ただ単に計画崩れしているだけなのか、いつも自分がこなせる2倍以上のタスク量を詰め込んでいた。未来の自分に対して、「これぐらいできるだろう」という大きな期待をしていたのも原因だったと思う。
今の自分と未来の自分には大きなギャップがあることに気づき、 私は自分に過度な期待を寄せるのをやめた。 自分ができないとか能力がないと言っているわけではなく、 むしろ未来の自分に優しさを向けたいと思ったのだ。
たとえば、今の私が「母親」で、未来の私が「子供」だとしたら、 母親から「これとあれとそれをして、全部ちゃんと終わらせるんだよ」 と念を押されたら、 誰だってしんどいだろう。
心理的なプレッシャーがかかり、余計に力が入ってしまって最適なパフォーマンスも発揮できない。
人によってこなせるタスク量は違う。 何時間働くかどうかも、誰かの基準に合わせる必要なんてまったくない。私は決してたくさんのことをこなせるタイプではない。 だから最初からピラティスのレッスンを入れすぎず、定期的なライティングの案件も自分の条件に合うものだけに絞っている。
最近の仕事の終了時間は17時。 レッスンで遅くなる日は、朝や日中の時間に自由な時間を確保している。
おそらく一般的なフリーランスに比べるとかなり余裕のあるスケジュールなのだが、一番優先させたいことは自分の心身の健康なので、これくらいがちょうどいい。
「失敗してもいいや」精神で過ごすようにした
私が完璧主義だと自覚したのは、ライターとして活動し始めてからだ。最初は経験も少なく、 ただ淡々とこなすだけで精一杯だった。しかし学びを深め、 たくさんの案件を抱えるようになり、だんだんと質へのこだわりが高くなった。
クリエイティブ職というのは、 一度こだわりだすと沼にはまる。 ピラティストレーナーの仕事と違って、労働時間が決まっているわけではなく、顧客の満足度もわかりにくい。だから、必要以上に時間と労力をかけて頑張ってしまいがちなのだ。
完璧主義が起こる原因を考えてみると、 失敗したくないという潜在的な意識の現れだと思っている。失敗すれば誰かに迷惑をかけたり注意されたりして、自分が傷ついてしまう。 傷つきたくないから、失敗しないように怒られないように完璧を目指そうとする。
しかし、どれだけ気をつけていても失敗は起こる。 失敗を100%避けようとすれば、 ダブルチェックどころかトリプルチェックが必要になり、いつまでたっても仕事が終わらない。 そして運動やリラックスする時間もなくなり、ライフスタイル自体がめちゃめちゃになる。
仕事は好きだけれど、 それ以上に暮らしを大事にしている私は、なにごとも最初から失敗する前提でやってみるようにした。
そういう考えにしてから、ライティングのスピードは格段に上がった。 具体的には、音声入力でバーッと情報を羅列して、 あとから声に出して読み上げながら修正する。 修正するときも違和感がなければ、 そのままゴーサインを出す。
自分では完璧と思っても、クライアントから修正依頼がくることもあるからだ。ある意味、質を一定にするには、少しドライに仕事をすることも必要だと思った。私は松岡修造並みに熱くなるところがあるので……。
あと家事や旅行の計画など、プライベートな事柄についても完璧を目指さないようにしている。 料理はササっと楽にできて、まずくなければそれでOKとする。旅行に関しても、思った通りのプランで進まなくてもハプニングが起きても、楽しめればそれでよしとする。
こんな感じで楽観的に考えられるようになって、毎日「あ〜幸せやな」と感じる瞬間が増えた。
最初に「家事」と「自分時間」を予定に入れる
私はいつも仕事ありきでスケジュールを立てていた。 だから家で仕事する日は、朝食も昼食も食べず、 軽くつまめるものを頬張りながら執筆に取り組むといった、なんとも堕落した生活を送っていたこともある。
ドイツ人パートナーと同棲し始めてからは家事の量が増え、 ろくに仕事もできないまま慌てて料理したり洗濯物を取り込んだりする慌ただしい日々が続いた。
家で仕事をしている人であればわかっていただけるだろうが、 仕事中も家事のあれこれが気になり、 ダブルでストレスがかかる。
どうも脳のストレスがひどかったので、 試しに 仕事以外の大切な時間を先に決めてから、 そこに仕事関連のタスクを入れてみた。
私は現在、1週間ごとにタスク管理するためにnotionを使っている。その日か前日にタスクを決めるのだが、まず最初にすることは運動と食事、家事、好きなこと、ベッドに入る時間を設定することだ。
運動は、心身の健康のためにも集中力を上げるのにも役立つから必要不可欠。食事は栄養だけではなく、私にとって癒しの時間である。家事全般も心地よい暮らしをするために大事。
そして、好きなことタイムもエネルギーチャージするために重要。睡眠は7〜8時間はとりたいので、翌日の仕事に合わせて設定する。
この方法を実践してみて驚いた。
「仕事をする時間が少ない……!」
今まで時間というリソースをほぼほぼ仕事に費やしてきた私は、「そりゃ時間に追われるはずや」と妙に納得した。
家事や自分のための時間を優先してから、車でいうガソリン満タンの状態なので、以前のように疲れにくくなり、仕事が楽しくなった。仕事のスピードは格段にアップし、運動や好きなことの時間がさらに増えて、最近わけもなく「いい感じ」と思うことが多い。
騙されたと思って、仕事以外を優先したスケジュール設定を試していただきたい。最初は仕事の時間が減ることで不安が出るかもしれないが、納期が迫っている場合は別として、 一度やってみて、その結果に応じてタスクの量や内容を見直してみてはいかがだろうか。
タイマーを使ってゲーム感覚で取り組んだ
在宅フリーランスは、 自分で自由に時間を決めて働くことができる一方で、 ついついLINE のやりとりに夢中になったりYouTube をダラダラ見したりと、時間を浪費しがちになる。さらに昼食後に眠くなり、やる気が起きず、休憩しすぎてしまうこともある。
ピラティスレッスンの場合は、 どれだけ眠かろうがお客様が来る時間にはしゃきっとしなければならない。 それに一度集中しだすと眠気はどこかへ吹っ飛ぶ。
しかし書く仕事の場合は、眠気は大敵。集中力が途切れ、言葉が見事に出てこなくなる。
7時間から8時間の睡眠をとるようにしてから、眠気の悩みは解消されてきたのだが、それでも人間だからやる気がないときもある。
無理に自分を奮い立たせるよりも、 自然と体が動くようになる仕組みを作るのが一番いいと思う。
そこで活用したのが iPhoneのタイマーアプリだ。 タイマーを設定して、50分作業、10分休憩することが多い。
私が愛用しているアプリは、 自然音や 心地いい音楽を流せる「TIDE」と、最近使いはじめたのが学校のチャイムが鳴る「学校のチャイム」だ。
「TIDE」は、作業に最適な「集中」タイマーをよく使い、仮眠と睡眠、瞑想の機能もたまに利用している。無料でも森や海、雨の日など選べる音が多く、カフェなどで作業するときにも人の声が聞こえにくくなるからいい。
「学校のチャイム」は最近のお気に入りで、時間割を設定できるのも便利だ。チャイムが流れたらパソコンの前に立ち作業を開始して、終了のチャイムを聞いたら10分だけ好きなことをする。
このサイクルは人によるので色々挑戦してほしい。 家事を効率的にしたいときや投稿を作るときにも、タイマーはおすすめだ。人は時間制限があると、燃える性質がある。ゲーム感覚で素早く動こうとすると、新たな発見があるし、なにより楽しい。
時間の使い方を変えて、余裕のあるフリーランスへ

時間に追われる生活は、健康はもとより人間関係も崩れやすくなる。
私自身、余裕がないせいで、同棲しているドイツ人パートナーにイライラしたり、ひとりで焦って呼吸が浅くなったりしていた。今もまだ課題はあるが、時間に追われる日数は月に片手で数えられる程度になり、やっと時間と仲良くなれてきたような気がする。
時間は年齢や環境に関係なく、誰にとっても平等にあるもの。だから使い方次第で、どうにだってできると思っている。
上手な時間の使い手が増えますように。
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